たまには自分の研究分野である医療ITについて語ってみようと思います。
医療ITってなんだよ?
医療ITとは医療分野におけるIT技術全般のことを指します。めっちゃ広い範囲を指す単語ですね、、、
例えば、電子カルテこれも、医療ITのひとつです。現在電子カルテの全国での導入率は約40%前後です。そう、実は全然電子化されていないのです。こういった医療ITを社会に浸透させるメリットを調査したり浸透させる方法を模索するのが医療ITです。
また、AppleWatchで心拍をとって体調管理するなども医療ITの一つと言えるでしょう。
医療ITが普及するとなにがいいの?
大きく分けて二つあると思います。一つは、様々なデータを掛け合わせて観測を行えること。つまり、Personal Health Recordの実現です。略してPHRというのですが、PHRが実現すると今まで病院ごとに管理されてたカルテやその他の身体情報が統合され、一人一人により適した医療サービスを提供できるようになります。
現在、似たような取り組みはオフラインで始まっており、お薬手帳などがそのいい例です。しかし、オフラインではこういった手帳がうまく管理されないパターンが多く発生しています。事実、おくすり手帳って行くたびにもらう羽目になって何冊も持ってたりしますよね。。。
こういったことをネット上で管理して、様々な医療提供者が常に情報を同じデータベースに記録していくことで質の高い医療サービスを提供することを可能にするのがPHRということです。
次にいいことは、今まで断続的に、かつ主観的に計測されていたデータが連続的、かつ客観的に取得できるようになるという点です。
断続的な身体データとは、例えば心拍数。現在では心拍数を毎日連続的なデータとして取得できますが、一昔前は断続的なもので、かわいい看護師さんに心拍数はかられようものなら普段より高い心拍数を叩き出したりなど、データの数値がその時々の状況によって大きく変わることがありました。
しかし、データを常に取っていれば先ほどのようなポイント・ポイントでしかとっていないデータより、さらに価値のあるデータとすることができます。
医療ITの難しいところ
医療ITを研究していることで難しいのは、その領域自体がとてもナイーブな領域であるということです。医療という、人の生命に関わる特殊なフィールドの中で新しい技術を導入することは、リスクが大きいため障壁も多くなります。
また、身体にかかわるデータとはつまり個人情報の塊のようなものなので、取り扱いも非常に難しいものになります。
それだけではなく、医療ITという分野にはいろんな領域の知見が必要になります。
例えば、健康行動を促したいとなった際に必要なのは、「健康行動とは?」を定義するための医療に関する知識。さらに、促すためのマーケティングや行動変容学といった商業的な知識。もちろん、ITを用いるのであればIT知識やセキュリティに関する知識も必要です。
このように、他分野を横断してより人々が健康寿命を延ばしたり、よりよいパフォーマンスを発揮するための知識が医療ITで、他分野にわたる知見を求められるということがさいだいの難しい点なのではないかと考えています。
こういって書いていると、いかにもSFCって感じの研究分野ですね。他分野横断!w
具体的になにやってるの?
具体的に、うちの研究会で進行しているプロジェクトとしては、未来予測プログラムや、水回りのリデザインなどがあります。
未来予測の方は、去年のOpen Reserch ForumというSFCのカンファレンスに発表したものなのですが、学生の生活データをApple Watchを通して把握し、所属している団体や、履修した授業によってサービス利用者の未来の健康とキャリアを予測しようというプログラムでした。
実際にやるにあたっては非常にお金がかかるので構想まででしたが、学生証をApple Watchに変更するなど未来の大学の姿が少し見えたと思います。
また、次のORFにむけて現在進行中のプロジェクトは水回りのリデザインです。具体的にはお風呂、洗面所、トイレにIoTを導入することでより、健康的に過ごせる家をデザインしてみるというものです。
まだ、アイデアベースですがトイレ内にカメラを設置し、便の状態を毎日自動で記録するだったり、スマートミラーと言って洗面台の鏡を情報ディスプレイにしたりすることで、より健康に過ごすための行動変容を促せるシステム作りが可能なのではないかと考えています。
ご興味ある方は、11月に行われるORFにて是非お会いしましょう。お待ちしています。
まとめ
このように、医療ITは人口減少の社会において一人一人の生産性をあげることに寄与したり、健康寿命を延長することで人々のQOLをあげることに一役買っていると言えます。
今後も、よりよい医療を提供するためにさらにIT化を進められるような活動をしたいですね。
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